2006年1月9日月曜日

映画「感染」について語ろう

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廃院を訪れ、映画『感染』が頭に浮かんだ(前回のお話)。

そこで、『感染』について語ろうと思う。


最近のホラーは救いのないものが多いが、これもそう。ただ、ただ、怖い。

また、その舞台となるのが「病院」である。

病院には、なんとも言えない独特の雰囲気がある。生と死をつなぐ場所であり、そして、外界と隔絶された空間でもあるためか..


病院の鮮烈な記憶がある。

小学校に上がる前のこと、近所の年上の子供らに連れて行かれた幽霊屋敷

そこは廃院だった。

使われなくなって長いのか、外観はボロボロ。おそるおそる中に入ると、辺りは薄汚れ、医療器具が足元に転がっていた。

どこでも遊べるのが子供の特権。薬壜のラベルを確かめる子、聴診器で遊ぶ子、酸素吸入器を口に当ててみる子までいた。私は、大勢でいながらも不気味さに圧倒され、遊ぶどころではなかった。

この日のことは家族には黙っていたのだが、なぜか祖母の耳に入り、ものすごく叱られた覚えがある。


映画の話に戻ろう。

ドロドロ、ぐちゃぐちゃした感触がスクリーンから伝わってくる。ものすごく気色が悪い。そして、その背景となっている病院の不気味さ。こうした感覚は、小説では味わえない。

逆に、小説では、登場人物の内面描写が中心となっている。しかし、物足りない感じは否めない。もっと鮮明な心理描写が欲しいところだ。心の葛藤がそのまま恐怖へと繋がっていくような..


幽霊や死霊が出てくるわけではなく、語り方によってはSFの範疇に入るとも思われるストーリーである。ホラー好きでも評価が二分するのは、このあたりの好き嫌いであろう。SF的な深い読みがないと、単なるおどろおどろしいだけの映像と感じてしまうに違いない。

私自身は、ラストシーンから想像を膨らませてゆくことで、さらに背筋がゾッとするような感覚を味わうことができた。一つひとつのバラバラに見える恐ろしい出来事は、実は一つの科学的な真実を浮かび上がらせていることに気づいたからだ。

すべての恐怖は人間の内面に起因するという..


もし、両方楽しむなら、小説から読むべし。怖がりな方でも、十分いけると思う。

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2 件のコメント:

  1. 怖いのはまったくだめです。
    体調復活です。ご心配お掛けいたしました。

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  2. 私も体調復活しました。息子も元気ですっ。

    怖いのが好きなのは、家族の中で私だけです。
    おかげで、肩身の狭い思いをしています。
    ホラーDVDをレンタルしたときは、PC上で
    ヘッドホンを装着して観ています。
    「ハンニバル」とか「ハイド・アンド・シーク」とか、
    映画館に一人で観に行きました。
    それはそれで、怖くていいのですけど..

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